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その他の内科疾患

急性冠症候群

症状のチェックポイントは性状、部位、持続時間、頻度、放散症状の有無、症状出現時の状況等が挙げられます。胸部の締め付け感、圧迫感、息苦しさが急に数分程度続きます。数秒程度では不整脈や心臓以外の原因の可能性が考えられます。チクチクとした痛みや触ると痛む、指で一点を示すような限局的なものは可能性が低くなります。呼吸や咳、体位変換の影響も受けません。頚部や下顎、歯、左肩から上肢、心窩部に痛みが放散することもあります。灼熱感、冷汗や吐き気を伴うような強い胸痛、10分以上続くような胸痛、新たに出現、安静時にも痛むと云ったキーワードは急性冠症候群を疑うもので速やかな対応が必要です。

肺塞栓症

下肢や骨盤内の深部静脈血栓が遊離して肺動脈を閉塞することにより肺循環不全および右心機能不全に至る疾患です。症状は急な呼吸困難、動悸、胸痛、失神などで、深部静脈血栓の所見は片側の下肢腫脹や触診での深部静脈の痛みなどで、危険因子としては長期臥床、肥満、妊娠、外科手術、下肢麻痺、下肢骨折、悪性腫瘍、長時間のバス旅行、飛行機旅行などです。頻脈、頻呼吸、低酸素血症、頚静脈怒脹があるのに胸部レントゲンで異常を認めず、説明の出来ない呼吸困難がある場合には疑います。

大動脈解離

中膜が変性して胴部に血圧や拍動のストレスが加わって内膜が破綻することにより発症すると考えられています。マルファン症候群や大動脈縮窄症、大動脈二尖弁、血管炎などでも起こります。突然の胸痛や背部痛で発症します。痛みが移動することもあります。痛みがなくて失神や麻痺症状のこともあります。血圧の左右差、血圧低値やショック(心臓タンポン症、大動脈破裂、右室梗塞、大動脈弁閉鎖不全、徐脈性不整脈、頚動脈洞反射、左血胸、消化管に破裂、縦隔や後腹膜血腫)をきたすこともあります。分枝動脈の狭窄や閉塞による臓器の虚血症状(脳梗塞による左片麻痺や失神、上肢や下肢の虚血による痛みや痺れ、脱力や痺れ、脊髄虚血による対麻痺や膀胱直腸障害、腸管虚血による腹痛、膨満、イレウス、CPK上昇、腎梗塞による血尿やLDH上昇にも注意します。

大動脈弁狭窄症

大動脈弁がリウマチ変化、動脈硬化による石灰化、二尖弁などの原因で開放制限を受けて左室から大動脈への血液の駆出が障害される病態です。65歳以上の3%にみられます。無症状で経過することが多いです、いったん症状が出現すると予後は急速に悪くなり、狭心症では5年、労作性失神が出現で3年、心不全出現で2年の平均予後と云われています。発見契機は収縮性心雑音です。右鎖骨上でも聴取される場合は可能性が高くなります。収縮期雑音は頚動脈へも放散し、重症になるにつれて雑音のピークは遅くなります。

急性心膜炎

原因の多くはウイルス性であるが細菌、結核、真菌、悪性腫瘍、自己免疫、心筋梗塞後、放射線治療、尿毒症、薬剤、外傷でも起こります。急性の、吸気や臥位で増悪し、僧帽筋稜に放散する前胸部痛が特徴です。多くのウイルス性心膜炎では発熱、倦怠感、筋痛等感冒様の前駆症状を認めます。

感染性心内膜炎

基礎疾患として僧帽弁逸脱が最多です。菌の侵入門戸は損傷皮膚、血管カテーテルなどです。月単位で倦怠感、食欲低下、発熱、体重減少等が出現する亜急性と日の単位で発症し発熱、悪寒、戦慄、関節痛、筋痛が進行して症状悪化の激しい急性の二つの病型がありますが発熱や心雑音はほぼ必発です。合併症は脳卒中、髄膜炎(肺炎や副鼻腔炎、中耳炎等の基礎疾患のない細菌性髄膜炎では心内膜炎が原因のことあり)、免疫反応による筋痛、関節痛や菌血症による化膿性関節炎、骨髄炎、様々な部位への塞栓(結膜の線上出血、爪下出血、Roth班、手指先の有痛性結節、手掌や足底の無痛性結節)、腸管、心臓、四肢、腎臓などの血栓形成等です。臨床像は①弁の破壊による心雑音、心不全、②心内膜の感染による発熱、菌血症、感染性動脈瘤、感染性梗塞、③免疫反応による脾腫、腎炎、皮疹の三つに集約されます。①には心エコー、②には血液培養、③には理学所見にて検査対応します。

不整脈

安静時洞調律の心拍数の正常範囲は50~100拍/分であり、不整脈は心拍の遅くなる徐脈性不整脈、速くなる頻脈性不整脈、脈が飛ぶあるいは抜ける期外収縮に大別されます。原因として最も多いのは加齢に伴うものやストレス、過労、アルコール等ですが、冠動脈疾患、弁膜症、高血圧、心不全等の心疾患や肺梗塞等の肺疾患、甲状腺疾患を基礎疾患として鑑別します。徐脈性不整脈は加齢や電解質異常(髙カリウム等)が原因として最も多いです。心筋症や心筋炎、サルコイドーシスやアミロイドーシス、下壁梗塞等も鑑別します。迷走神経反射のこともあります。頻脈性不整脈では心房細動が重大疾患です。肺静脈を起源とする期外収縮から起きる事が多いです。ストレス、飲酒、喫煙、過労、睡眠不測、脱水などが誘因となります。高血圧、弁膜症、心筋症、冠動脈疾患等の基礎疾患があると心房細動を併発する危険が高まります。甲状腺機能亢進症に併発することもあります。心房内に血栓が出来やすくなり、その血栓が心源性脳塞栓等重篤な脳卒中の原因となります。心房細動は脳梗塞を発症する危険が約5倍高く、脳梗塞の30%は心房細動が原因と考えられています。

腎梗塞

心房細動等に伴って心原性の塞栓として発症することが多いです、その他大動脈解離や腎動脈解離、動脈炎に伴うもの、原因不明のものもあります(腎静脈血栓症のリスクファクターはネフローゼ症候群です)。突然の持続性の強い側腹部痛でしばしば悪心、嘔吐を、時に微熱を伴います。白血球とLDH上昇を認めます。治療は心房細動に対する抗凝固療法や腎機能低下に伴う血圧上昇に対する薬物療法が中心となります。

溶連菌性咽頭炎

A群β溶連菌により惹起される溶連菌性咽頭炎は多くの細菌感染症の特徴でもある比較的突然の発熱で発症しますが、小児では咽頭痛は必発の症状ではなく腹痛を訴えることも少なくありません。A群β溶連菌は適切に治療しないとリウマチ熱を合併することがありますので注意が必要です。4大兆候は①発熱(突然発症します、ただし3才未満では緩除に発症することもあります)、②扁桃浸出物(白苔のこと)、③咳がない(冬場でかぜを合併すれば咳も出ます)、④圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹(後頚部リンパ節腫脹はウイルス感染症で出現しやすいです)です。治療はペニシリン内服が第一選択です。ペニシリンアレルギーがあればマクロライドを内服します。抗生剤内服後1日程度で症状は軽快しますし、他人への感染力も消失しますが、リウマチ熱発症予防のため抗生剤はペニシリンでは10日間内服が原則です。白苔を伴う咽頭、扁桃炎の主な鑑別疾患はアデノウイルス感染症とEBウイルスによる伝染性単核球症です。アデノウイルス感染症は乳幼児に好発し、夏に多いです(プール熱)。また3割程度に結膜炎(咽頭結膜熱)を合併します。平均有熱期間は5日です。EBウイルス初感染による伝染性単核球症は20歳前後の若年者に好発し時に上眼瞼浮腫や脾腫を伴います。平均有熱期間は約3週間です。

伝染性単核球症

EBウイルスは八つのヒトヘルペスウイルスのうちの1つです。唾液を介した感染ですが10歳以下での初感染は大部分が不顕性もしくは軽度の症状を呈するのみですが、青年期、若年成人が初感染するとおよそ半数で顕性の症状を呈し急性のEBウイルス感染症である伝染性単核球症を発症します。発熱や咽頭痛、咽頭炎、頚部リンパ節腫脹、倦怠感、肝障害が比較的高頻度でみられます。発熱、咽頭痛で発症した若年者で扁桃に白苔が観察される場合は溶連菌性咽頭炎を鑑別します。伝染性単核球症では抗生剤が無効であるばかりでなく、ペニシリンやセフェム系抗生剤で副反応として皮疹を生じやすいので抗生剤治療を要する溶連菌感染と鑑別が必要となるわけです。溶連菌性咽頭炎は小児からの感染が多いので、子供との接触が病歴のポイントです。また伝染性単核球症の発症は寛徐ですので発症後3日程度経過してからの受診が多いのと対照的に溶連菌性咽頭炎は急性に経過しますので発症後すぐの受診が多いし、また数日で自然軽快することも鑑別点です。伝染性単核球症は後頚部リンパ節腫腫脹、溶連菌性咽頭炎は前頚部リンパ節腫脹も鑑別点です。伝染性単核球症では末梢血に異型リンパ球が増加します、病名の由来です。異型リンパ球はその他のウイルス感染症や重症感染症、自己免疫疾患や薬剤性でも出現することがある反応性のリンパ球ですが数%の増加にとどまることが多いですが、伝染性単核球症では10%以上になることが多いです。伝染性単核球症は発熱や咽頭痛、咽頭炎や肝障害等症状、所見が軽快するのに数週間から一ヶ月程度かかることが多いです。倦怠感や摂食困難が軽度の場合は自宅での養生も可能です。類似疾患であるサイトメガロウイルス感染症はEBウイルスによる伝染性単核球症の1/4程度の発症頻度ですが罹患平均年齢は10歳程度高齢です。咽頭所見に乏しく、頚部リンパ節腫脹も目立ちません。平均発熱機関は19日(9から35日)ですが自然治癒しますので全身状態が良好であれば外来で経過観察します。

伝染性紅班(りんご病)

 小児が感染すると頬が赤くなるためりんご病。HPV-B19ウイルス感染症で10日前後の潜伏期を経て病初期はウイルス血症による発熱や軽度の多関節痛等非特異的な感冒様全身症状と軽度の貧血(赤芽球前駆細胞を選択的に障害するため、溶血性貧血を合併している例では一過性の急性赤芽球ろうを呈します)を生じ、ついで発症一週間以降に免疫反応による再増悪を来たし、体幹や四肢の網状、レース様皮疹や強い関節痛、浮腫が週間以上残存することがありますがこの頃にはウイルスは排除されて感染性もなくなります。

ツツガムシ病
 農作業および森林作業後の発症が6割を占めます。10日前後の潜伏期の後、発熱、頭痛、筋肉痛、咽頭痛、嘔気、嘔吐が出現して、その後3日前後で掻痒を伴わない皮疹が続発します。皮疹は淡紅色で3mm程度の境界不明瞭な丘疹が体幹から出現し、四肢に拡がります。麻疹と異なり癒合傾向はありません。刺し口は15mm前後の浸潤性紅班で中心に黒色痂皮を伴います。全身性リンパ節腫脹、肝脾腫、白血球減少、血小板減少、肝機能異常を認めます。適切な治療が行われない場合はDIC等の合併症より死亡率は30%となります。
ネコひっかき病
ネコによる引っかき傷、創部の水泡形成、受傷部位の所属リンパ節腫脹や発熱が主症状です。局在性のリンパ節腫脹は腋窩、頚部、鼡径部の順に多いです。リンパ節腫脹(組織学的にはリンパ節のリンパ濾胞過形成と中心に好中球浸潤と壊死、膿瘍化を伴う類上皮細胞肉芽腫の形成が特徴的とされています)は一ヵ月半程度で自然軽快することが多いですが免疫不全患者ではマクロライド系抗生剤で加療します。
反応性関節炎
クラミジアによる尿道感染や感染性下痢が契機となり感染から1から4週後に膝関節、足関節などの下肢に好発する急性非対称性関節炎を呈します。関節炎、尿道炎、結膜炎を三徴といいます。血清反応陰性脊椎関節炎に分類される疾患です。仙腸関節炎を伴うことも多いです。尿道炎は無症候性のこともあります。感染に誘発された自己免疫性疾患と考えられています。
壊死性リンパ節炎
原因不明の急性の経過で発症する良性の疾患です。若年女性に好発します。有痛性後頸部リンパ節腫脹と発熱を主症状として発症します。丘疹性紅班や浸出性紅班等の皮疹、白血球数低下、LDH血清フェリチン値上昇を認めることがあります。
側頭動脈炎
発症はほぼ50歳以上に限られます。頚動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈とその先の枝が侵されます。眼動脈が閉塞すると失明の危険があります。その予防が最大の治療目的です。頭痛、顎跛行、血管雑音、霧視、複視、発熱、CRP髙値をきたします。リウマチ性多発筋痛症(PMR)が側頭動脈炎の発見契機となることがあります。PMRの20%に側頭動脈炎を合併し、側頭動脈炎の半数にPMRを認めます。PMRを合併した側頭動脈炎は診断しやすいです。
スティル病
全身性の炎症性疾患で病因は不明です。発熱+皮疹やリンパ節腫脹、関節痛の鑑別疾患として感染症(特に感染性心内膜炎)やリンパ腫の除外が必要です。悪寒を伴う39℃以上の発熱も翌朝には平熱近くまで解熱する弛張熱の熱型が比較的特徴です。数週間発熱を反復しても消耗がない、解熱時は元気で食欲もあるので感染症でないことが推測できることも多いです。炎症を伴う比較的大きな部位の関節痛や発熱に一致した咽頭痛も特徴です。表在リンパ節腫脹が目立つ場合にはリンパ腫除外のため生検も考慮します。サーモンピンクの紅斑性丘疹の出没も有力な証拠となります。発熱を伴わずに出現することもあります。通常は痒みはありません。白血球増多、高度の炎症反応、肝機能異常、血清フェリチン値著増を認めます。
リウマチ性多発筋痛症(PMR)
おもに高齢女性に急性発症する近位筋の痛み(両側上肢の挙上制限や腰でん部大腿部筋痛による歩行障害等、筋痛は必ず両側性であり、必ず近位も含みます。症状が片側性ならPMRではない、遠位筋の痛みもPMRではありません)と倦怠感や微熱、食欲不振、体重減少を半数以上に伴う原因不明の臨床症候群です。PMRの20%に側頭動脈炎を合併し、側頭動脈炎の半数にPMRを認めます(高熱や頭痛を伴っているときには側頭動脈炎の合併を疑います)。関節リウマチ、SLE、RS3PE等の膠原病や感染性心内膜炎や敗血症等の感染症を鑑別後、少量のステロイド内服で著効しますが、一年未満の治療中断は再発例の報告が多いです。
高安動脈炎(大動脈炎症候群)

大動脈とその主要分枝を侵す慢性肉芽腫性血管炎です。若年のアジア人女性に好発しますが稀な病気です。炎症による発熱や倦怠感、痛み、食欲不振、体重減少等の全身的な症状が出現することもありますが、一般的には病初期には特異的な症状に乏しいことが多いです。病状の進行とともに大動脈とその主要分枝の炎症による血管痛や狭窄に伴う雑音や虚血症状も認めるようになります。具体的には鎖骨下動脈の炎症で上肢の疲労感、痺れ、血圧の左右差、鎖骨下動脈盗血症候群によるめまい失神、頚動脈、椎骨動脈ではめまい失神、一過性脳虚血、脳梗塞、頭痛、視力障害、大動脈弓では大動脈弁閉鎖不全や心不全、腎血管性高血圧、腹部動脈では嘔気、嘔吐、腹痛、下肢の間欠性跛行等です。

側頭動脈炎とともに巨細胞性動脈炎に分類されますが、巨細胞を認める頻度は側頭動脈炎に比して少ないです。高安動脈炎は大動脈から第一分枝の動脈を、側頭動脈炎は第二分枝から先の動脈を侵します、罹患分布が異なります。治療経過も明瞭に異なります。側頭動脈炎は初回ステロイド治療で高率に寛解し、また寛解を維持します。比して高安動脈炎はステロイド減量とともに高率に再燃してCRPは再上昇し、くすぶります。

若年女性の原因不明の炎症はクローン病と並んで高安動脈炎を考えます。診断のこつは原因不明のCRP上昇には大血管MRIやPET/CT検査することです。

帯状疱疹

小児期に水痘として初感染した水痘・帯状疱疹ウイルスが三叉神経または脊髄知覚神経節に潜伏感染し、数十年の長期間を経て再活性化して、神経支配域の皮膚に一致して水泡を多発します。疼痛を伴いときに皮疹の治癒後も長期間疼痛が残存する後遺症を残します。帯状疱疹は三叉神経、脊髄神経のうち、三叉神経第1枝では目の障害で視力障害を、顔面神経では顔面麻痺を、仙髄の神経では膀胱直腸障害を生じることがありより注意が必要です。通常急性、片側性の疼痛が先行して、数日後単調な周囲に紅班を伴い明瞭に隆起する水泡が出現します。再発性単純ヘルペスを鑑別しますが治療に用いる抗ウイルス薬は同じです(単純ヘルペスのほうが薬の量は少ないです)。腎機能低下例では薬を減量します。疼痛対策としてアセトアミノフェンが第一選択ですが効果不十分の場合はNSAIDsを、それでも不十分であればリリカ(神経原性疼痛治療薬)と併用もします。

鼻根部や鼻尖部に病変を認める場合は三叉神経第1枝領域の帯状疱疹ですので眼病変を生じる眼部帯状疱疹をきたす可能性があります。眼瞼の浮腫と水疱形成がある場合もすぐに眼科紹介です。

65歳以上の一般人口の帯状疱疹罹患率は年率1/100人程度と推計されています。また帯状疱疹の再発率は数%と考えられています。2016年に帯状疱疹の予防目的に水痘ワクチンが50歳以上の成人を対象として適応が認められました。米国の調査ではワクチン接種により5年間の追跡調査で帯状疱疹の発症は約半分に、帯状疱疹後神経痛の発症は約1/3に抑制されたと報告されています。抗がん剤や副腎皮質ステロイド等の免疫抑制剤等の治療により免疫抑制状態となると、水痘ワクチンは生ワクチンですので帯状疱疹の予防接種ができません(逆に水痘を発症してしまう危険があります)が、免疫抑制状態の方にもワクチン接種が可能となるよう、今後帯状疱疹の成分ワクチンがわが国でも認可される予定です。

褐色細胞腫

全高血圧症の0.1%を閉める稀な疾患です。クロム親和性細胞が腫瘍化したもので、主に副腎髄質に生じて、カテコラミンの過剰分泌から、高血圧、代謝亢進、頻脈、拍動性頭痛、発汗過多、頭痛、悪心、嘔吐、四肢末梢の冷汗、振戦、しびれ感、便秘などを呈します。10%病といわれるように、両側副腎発生、副腎外発生、悪性、小児例、家族内発生、高血圧非合併が各々約10%を占めるとされています。またカテコラミンの分泌が発作型の場合は、突然の血圧上昇、激しい頭痛、動悸、めまい、胸部絞扼感、腹痛、顔面蒼白など、発作性に多彩な症状を伴います。発作の誘因となるものにはプリンペラン、グルカゴンなどの注射、運動、腹部圧迫、前屈、腹臥などが云われています。稀に大量のカテコラミンが放出される場合には心筋梗塞、急性腎不全、脳卒中、麻痺性イレウス等を引き起こすこともあります。発汗過多と末梢血管収縮により循環血漿量が減りますので、起立性低血圧の合併も稀ではありません。さらに代謝の亢進と相俟って、体重減少もよくみられます。またカテコラミン以外にもIL-6、PTHrP、ACTHなどさまざまなサイトカインを腫瘍が分泌して、発熱、炎症反応、髙Ca血症等各々の特有の症状の出現も報告されています。

尿崩症

下垂体後葉からのADH(抗利尿ホルモン)の分泌低下による中枢性、あるいは腎臓でのADH作用不全による不応性により水分の腎臓での再吸収障害から3㍑/日以上の多尿とそれに伴う口渇、多飲を来たす疾患です。口渇、多飲、多尿を来たす疾患の鑑別は、夜間尿がなければ心因性多尿を疑います。夜間尿を伴う場合は糖尿病や尿崩症を疑います。中枢性尿崩症は日時を特定できるほどの急性発症し、冷水を好むことが特徴です。ADH分泌の低下の原因は白血病やリンパ腫を含めた腫瘍性、外商、感染、血管病変、リンパ球性下垂体炎等があります。腎性尿崩症の原因はADHの作用部位である集合尿細管が分布する腎髄質、及び乳頭部に生じた間質性腎炎、アミロイドーシス、あるいは低カリウム血症や髙カルシウム血症に伴うADHの作用障害等です。

服腎不全

原発性(副腎の機能低下)、二次性(下垂体機能低下)、三次性(視床下部機能低下)に分類される。原発性は結核によるものが多かったですが自己免疫性が多くを占めます。二次性は原発性よりも頻度が低く高齢発症が多いです。下垂体腫瘍、下垂体炎(自己免疫性、IgG4関連、肉芽腫性等)、放射線治療後、髄膜炎後、外傷後、シーハンなど。意欲の低下、倦怠感、吐き気、食欲低下等の不定愁訴や、体重減少、関節痛、筋痛等非特異的な症状が多いです。抑うつ等と間違われて仕事の継続が困難のことも多いです(ケネディーは両側の副腎結核が原因の副腎不全でしたが診療を受けて、米国大統領になりました)。原発性と二次性の鑑別には色素沈着や塩分を欲する症状の有無が有用です。好酸球増多や原発性で認める低Na、髙K血症も頻度は3割程度で低いです。

副甲状腺機能亢進症

30歳以上の女性に好発し医療機関受診者の約1/1000人に診断されます。外来患者さんの髙カルシウム血症の原因として最多です。髙カルシウム血症では全身症状(倦怠感、疲労感、筋力低下、筋緊張、脱水)、中枢神経症状(嗜眠、めまい、錯乱、昏睡)、消化器症状(食欲不振、悪心、嘔吐、腹痛、便秘、イレウス)、腎症状(口渇、多飲、多尿、腎機能低下、尿路結石)などの症状があります。

甲状腺疾患

甲状腺機能異常症には甲状腺中毒症と甲状腺機能低下症がありますが、その原因は多岐にわたります。甲状腺機能亢進症を伴うものにバセドウ病があります。抗TSH受容体抗体によって起こる自己免疫性甲状腺疾患で甲状腺腫のほか代謝の亢進による症状(暑がり、発汗、体重減少、下痢等)、組織の交感神経感受性の亢進による症状(動悸、息切れ、手指振戦、多動、不眠等)等がみられ、成人の甲状腺中毒症の原因の75%程度を占めるとされます。残り15%は無痛性甲状腺炎、5%は亜急性甲状腺炎で、これらを鑑別します。一方甲状腺機能低下症は易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、便秘、嗄声、便秘、脱毛等がみられます。慢性甲状腺炎や海草などヨウ素過剰摂取、薬剤性等を鑑別します。

橋本病

甲状腺機能低下症の原因として最多です。日本甲状腺学会のガイドライン2013によれば、びまん性甲状腺腫とTPO抗体かサイログロブリン抗体が陽性のときに橋本病と診断します。関節リウマチや悪性貧血、シェーグレン症候群、自己免疫性下垂体炎等種々の疾患に合併します。症状のない潜在性甲状腺機能低下状態でのホルモン補充療法の是非は議論の分かれるところです。ヨード過剰摂取でも甲状腺機能低下が惹起されるのでヨード制限にて血液検査で経過観察も必要です。女性に圧倒的に多いです。

亜急性甲状腺炎

上気道感染症状などのウイルス感染症状のあとに発熱、倦怠感や前頚部痛、前頚部腫脹、嚥下時等の甲状腺から下顎部、耳介後部に放散する痛みを認めます。痛みは反対側に移動することもあります。いまだ原因不明の疾患です。甲状腺組織の破壊によって貯蔵されていた甲状腺ホルモンが血中に放出され、甲状腺中毒症状(動悸、発汗過多、手指振戦等)を認めることもあります。エコーで甲状腺の痛みの部に一致して低エコー所見を認めます。白血球増多のない赤沈の亢進が特徴的です。自然治癒しますが、発熱、疼痛などの諸症状に対して副腎ステロイドの内服が著効します。

特発性縦隔気腫

高身長、痩せ型の基礎疾患を伴わない若年男性に好発します。縦隔の間質に空気が貯留した状態です。多くは肺胞が破裂するために生じると考えられています。急性発症の嚥下や吸気で増悪する前頚部痛、胸部痛です。胸骨後部の胸痛や呼吸困難、咽頭痛、嚥下痛、嚥下困難、なども訴えます。半数以上に皮下気腫も認めます。喘息発作や咳嗽、嘔吐、運動などの胸腔内圧上昇時に発症しやすいが誘因がないことも多いです。胸部レントゲンで1/3に異常所見を認めないので疑った場合はCT検査も検討します。 

特発性食道破裂の鑑別が必要です。

ビタミンB1欠乏症

ビタミンB1欠乏はアルコール中毒、偏食、重症妊娠悪阻などで起こることが多いですが、ビタミンB1は十二指腸から空腸上部で吸収されるため、胃や十二指腸等の消化管手術後でも発症することがありえます。ビタミンB1欠乏の主な症状は脚気とウェルニッケ-コルサコフ症候群です。脚気は乾性脚気では対称性の末梢神経障害(痛覚過敏や深部知覚鈍麻や痺れ等)、湿性脚気は浮腫や急性の髙拍出性心不全(脚気衝心)を呈します。ウェルニッケ脳症は急性の経過で発症する意識障害、外眼筋麻痺(複視や眼振)、歩行障害などの神経兆候を呈します。コルサコフ症候群は慢性の経過で発症する作話や失見当識、記名力障害などの精神兆候を呈します。

貧血

小球性貧血では頻度が高いのは鉄欠乏製品血と慢性炎症性疾患に伴う貧血です。鉄欠乏は偏食や月経過多以外にも子宮筋腫や胃がん、大腸がんからの出血のこともあります、子供ではピロリ菌感染に伴う鉄吸収障害が原因となることもあります。慢性炎症では鉄利用が障害されていることもあり血清フェリチン値が低値でなくても鉄剤内服に反応することもあります。

正球性貧血では溶血性貧血や腎性貧血、慢性炎症や甲状腺機能低下副腎不全等の内分泌疾患等を鑑別します。腎性貧血であればEPO製剤に反応することが多いですが相対的な鉄欠乏となることがあるため鉄剤内服も考慮します。

大球性貧血ではビタミンB12や葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血を疑います。ビタミンB12は胃壁細胞から分泌される内因子と結合して終末回腸から吸収されますので、胃切除後や自己免疫機序による、稀にはピロリ菌による萎縮性胃炎がビタミンB12欠乏性貧血の2大原因です。その他吸収不良症候群や摂食不足、クローン病等の終末回腸病変も原因となりえます。鉄吸収も同時に障害されて鉄欠乏性貧血が合併することもあります。ビタミンB12と鉄剤を一緒に内服治療します。葉酸欠乏はアルコール依存等による摂取不良、吸収不良症候群、MTXやST合剤内服が原因となることもあります。巨赤芽球性貧血では無効造血から汎血球減少や髙LDH血症を認めることもあります。

痛風、髙尿酸血症

血清尿酸値が7.0mg/dlを超えると体内の溶解度を越えるため痛風発作が起こりやすくなります。ストレス、飲酒、激しい運動等脱水が発作の誘引となることも多いです。発作部位の違和感が先行こともありますが、通常はひとつの関節の急性の痛み発作で発症します。疼痛、発赤、腫脹、熱感が突然起こります。炎症は約2週間で軽快しますが十分に加療されないと発作は頻発し慢性化、さらには複数の関節に出現するようになります。通風腎といわれる腎障害も併発します。なぜか発作直後は血清尿酸値が低下していることが多いです、また尿酸値の急激な変動は痛風発作の引き金、増悪となるため、尿酸降下薬は消炎剤等で痛み発作が治まってから少量から開始して、発作の起こりにくい血清尿酸値6.0mg/dl以下を目標に徐々に容量調節します。それでも痛風発作を誘発した場合、尿酸降下薬は中止せず消炎剤を併用して炎症が落ち着いてから増量します。節酒、食事療法、運動等の養生も大事です。

 
 
 
 
 

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