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セリアック病

[2018.03.31]

遺伝的素因を背景に、グルテンの経口摂取にて腸粘膜の免疫反応が生じて消化器症状が主に出現する自己免疫性疾患です。グルテンとは小麦に含有される植物性蛋白の総称でその分画であるグリアジンは消化酵素に分解されにくい特定のペプチド配列の形で上部小腸粘膜を通過、自然免疫及び獲得免疫が誘導されて炎症反応を引き起こし、粘膜固有層は障害されて粘膜上皮内に炎症細胞浸潤と粘膜萎縮を生じます。臨牀症状は小児では離乳期から2歳までの発症が多く、下痢や嘔吐、腹満、吸収不良による成長障害が、その後の低身長、貧血等を惹起します。成人では40歳までに診断される場合が多いですが、高齢になるまで診断されないこともあります。慢性の下痢、低蛋白血症、鉄欠乏性貧血、骨粗しょう症、失調性の神経症状などを呈します。Ⅰ型糖尿病や甲状腺疾患等他の自己免疫性疾患の合併頻度も高いです。内視鏡所見は小腸や十二指腸のKerckring皺壁の消失と絨毛の萎縮やそれに伴うモザイク状粘膜です。組織学的所見は小腸や十二指腸粘膜の上皮内リンパ球浸潤、粘膜萎縮、絨毛消失、上皮細胞のアポトーシス、陰窩過形成等です。腫瘍の合併も多く中でも空腸の腸管型T細胞リンパ腫の頻度が高く、60歳代で診断されることが多いです。

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