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伝染性単核球症

[2018.06.29]

EBウイルスは八つのヒトヘルペスウイルスのうちの1つです。唾液を介した感染ですが10歳以下での初感染は大部分が不顕性もしくは軽度の症状を呈するのみですが、青年期、若年成人が初感染するとおよそ半数で顕性の症状を呈し急性のEBウイルス感染症である伝染性単核球症を発症します。発熱や咽頭痛、咽頭炎、頚部リンパ節腫脹、倦怠感、肝障害が比較的高頻度でみられます。発熱、咽頭痛で発症した若年者で扁桃に白苔が観察される場合は溶連菌性咽頭炎を鑑別します。伝染性単核球症では抗生剤が無効であるばかりでなく、ペニシリンやセフェム系抗生剤で副反応として皮疹を生じやすいので抗生剤治療を要する溶連菌感染と鑑別が必要となるわけです。溶連菌性咽頭炎は小児からの感染が多いので、子供との接触が病歴のポイントです。また伝染性単核球症の発症は寛徐ですので発症後3日程度経過してからの受診が多いのと対照的に溶連菌性咽頭炎は急性に経過しますので発症後すぐの受診が多いし、また数日で自然軽快することも鑑別点です。伝染性単核球症は後頚部リンパ節腫腫脹、溶連菌性咽頭炎は前頚部リンパ節腫脹も鑑別点です。伝染性単核球症では末梢血に異型リンパ球が増加します、病名の由来です。異型リンパ球はその他のウイルス感染症や重症感染症、自己免疫疾患や薬剤性でも出現することがある反応性のリンパ球ですが数%の増加にとどまることが多いですが、伝染性単核球症では10%以上になることが多いです。伝染性単核球症は発熱や咽頭痛、咽頭炎や肝障害等症状、所見が軽快するのに数週間から一ヶ月程度かかることが多いです。倦怠感や摂食困難が軽度の場合は自宅での養生も可能です。類似疾患であるサイトメガロウイルス感染症はEBウイルスによる伝染性単核球症の1/4程度の発症頻度ですが罹患平均年齢は10歳程度高齢です。咽頭所見に乏しく、頚部リンパ節腫脹も目立ちません。平均発熱機関は19日(9から35日)ですが自然治癒しますので全身状態が良好であれば外来で経過観察します。

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