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検診エコーで胆のう壁肥厚所見を指摘され

[2018.02.03]

たら、胆のう腺筋症(adenomyomatosis of the gallbladder:ADM)は組織学的に胆のう壁内のRokitansky-Aschoff sinus(RAS)(オーストリアとドイツの病理学者の名前が付けられた構造物で、粘膜がポケット状に陥入して筋層や漿膜下に達したもの、胆石等で胆嚢内圧が高まった状態が持続することによって次第に発達していくと考えられています)の増生と筋繊維組織の肥厚、粘膜上皮の過形成を認める胆のう壁の肥厚性病変です。わが国では胆のう壁1cm内にRASが5個以上増生し、壁が3mm以上に肥厚したもの、という診断基準が一般的に用いられています。90%以上に胆石を合併します。病変の広がりによって底部型、分節型、びまん型に分類されています。エコーでRASを示唆する無エコー領域、壁内結石であるkomet like echoが描出されることがADMに特徴的です。腫瘍性病変との鑑別のためCTやMRCP等にて粘膜面が比較的整であること、漿膜や外壁層が周りの臓器との境界が保たれているとこを確認いたします。

慢性胆嚢炎は胆石が原因で細菌感染をきたし、慢性炎症にて胆のう壁肥厚をきたしたものです。胆のう壁の肥厚は全周性で比較的均一な層構造もエコー等で確認できることが多いです。結石以外にも血管炎や自己免疫性膵炎、IgG4関連疾患も慢性炎症の原因となることがあります。組織学的には粘膜の萎縮、胆のう壁の繊維化を認めます。肥厚した壁内には筋層内や外壁や漿膜下に達するRASがみられます。ADMとは外科的摘出標本でRASの頻度や平滑筋増生の有無を組織学的に鑑別します。

膵管胆管合流異常症では、合流形態の異常により胆道内に膵液の逆流が生じるために慢性刺激に伴い胆のう粘膜に過形成変化をきたします。過形成粘膜は上皮が肥厚して細胞増殖活性が亢進しており、過形成から異型性、さらにはがんに至る機序があると考えられていますので、胆石を認めない全周性壁肥厚所見では、MRCP検査で合流異常が疑われる場合はERCP等更なる検査も必要とされています。

黄色肉芽腫性胆嚢炎は胆石などで胆のう内圧の上昇とそれに付随する何らかの原因による上皮損傷をきたして、RASの破綻や粘膜潰瘍から胆汁が胆のう壁間質に漏出して組織反応が生じた結果と考えられています。多くの組織球が胆汁中の資質を貪食して局所に堆積して異物型多核巨細胞も出現して肉芽腫を形成します。そして炎症の消退や繊維化などを繰り返して次第に胆のう壁は肥厚すると考えられています。また周囲組織への病変の波及が不整かつ比較的顕著に認められることが多いです。病変の進行、消退と繊維化が慢性に経過することが周囲との境界を不規則にする原因と思われます。腫瘍性病変とは粘膜面が整で連続性が保たれていることで鑑別しますが診断が困難なことも多いです。

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