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胃梅毒

[2017.12.06]

梅毒は近年大流行し社会的問題となっています。梅毒トレポネーマが全身に血行播種される第二期に菌体とその代謝産物に対する血管アレルギーにより手掌皮疹等多彩な皮膚病変が生じますが稀には消化管にも病変が出現することがあります。胃は消化管の中でも梅毒病変の好発部位です、その他直腸や口腔咽頭病変の報告も散見されます。胃梅毒は心窩部痛で徐々に発症することが多いです。内視鏡所見の特徴は①幽門前庭部に幽門輪部に及ぶ、②全周性で癒合傾向のある不整形の多発潰瘍、びらんです。③潰瘍周囲の介在粘膜は浮腫状の凹凸不整隆起となり易出血性です。④梅毒トレポネーマが全身に血行散布される第二期に菌体とその代謝産物に対する血管アレルギーにより稀には皮膚病変と似た胃粘膜疹が胃体部にも形成されることがあります。幽門前庭部に潰瘍やびらん性病変を生じる生じる他疾患には1)胃癌、2)リンパ腫、3)急性胃粘膜病変、4)サイトメガロウイルス(CMV)胃炎等がありますが、④の胃体部の第二期梅毒に特徴的な皮疹に類似した特異的な粘膜疹の有無が胃梅毒との鑑別点です。病理組織像は粘膜固有層に強い形質細胞浸潤を認めます。確定診断は特殊染色で組織内スピロヘータの証明です。

前庭部に潰瘍やびらん性病変を生じる他疾患との鑑別は1)胃癌は潰瘍は単発のことが多く、高度の進展不良を伴いますが幽門輪部にまで病変が及ぶことは少ないです、2)リンパ腫は潰瘍は多発しますが散在性で小さなものが多く、介在粘膜は梅毒に比して隆起傾向が強いです、3)薬剤などによる急性胃粘膜病変は急性に発症して症状も強く潰瘍面には凝血塊や黒苔を伴い十二指腸にも浮腫状変化を有することが多いです、4)サイトメガロウイルス(CMV)胃炎は地図状の潰瘍が多発しますが幽門輪にまで及ぶことは少なく、また潰瘍辺縁は比較的明瞭で周囲の介在粘膜には異常を認めないことが多いです。

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