NT-proBNP
[2018.01.27]
心臓で分泌されるホルモンで、主に心筋の壁応力によって合成、分泌が調節されています。したがってその血中濃度は心機能障害、特に左室拡張末期圧の上昇や心拍出量の低下に応じて上昇します。心筋ストレスも重要な合成、分泌の促進因子です。代謝、排泄経路はすべて腎臓であるため、心機能のみならず腎機能評価も併せ持つマーカーです。心不全の程度に応じて上昇しますし、心不全症状を認めなくても心筋症、心房細動などの不整脈、心臓弁膜症でも上昇することがあります。肺動脈血栓塞栓症や原発性肺高血圧、慢性呼吸器疾患に伴う右室負荷に伴う右心不全では右室拡張末期圧の上昇に応じてNT-prBNPは上昇します。急性冠症候群での上昇は、心筋虚血ストレスもしくは虚血が引き起こす左室拡張末期圧上昇に伴う分泌亢進を反映しています。