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帯状疱疹

[2017.12.29]

小児期に水痘として初感染した水痘・帯状疱疹ウイルスが三叉神経または脊髄知覚神経節に潜伏感染し、数十年の長期間を経て再活性化して、神経支配域の皮膚に一致して水泡を多発します。疼痛を伴いときに皮疹の治癒後も長期間疼痛が残存する後遺症を残します。帯状疱疹は三叉神経、脊髄神経のうち、三叉神経第1枝では目の障害で視力障害を、顔面神経では顔面麻痺を、仙髄の神経では膀胱直腸障害を生じることがありより注意が必要です。通常急性、片側性の疼痛が先行して、数日後単調な周囲に紅班を伴い明瞭に隆起する水泡が出現します。再発性単純ヘルペスを鑑別しますが治療に用いる抗ウイルス薬は同じです(単純ヘルペスのほうが薬の量は少ないです)。腎機能低下例では薬を減量します。疼痛対策としてアセトアミノフェンが第一選択ですが効果不十分の場合はNSAIDsを、それでも不十分であればリリカ(神経原性疼痛治療薬)と併用もします。

鼻根部や鼻尖部に病変を認める場合は三叉神経第1枝領域の帯状疱疹ですので眼病変を生じる眼部帯状疱疹をきたす可能性があります。眼瞼の浮腫と水疱形成がある場合もすぐに眼科紹介です。

65歳以上の一般人口の帯状疱疹罹患率は年率1/100人程度と推計されています。また帯状疱疹の再発率は数%と考えられています。2016年に帯状疱疹の予防目的に水痘ワクチンが50歳以上の成人を対象として適応が認められました。米国の調査ではワクチン接種により5年間の追跡調査で帯状疱疹の発症は約半分に、帯状疱疹後神経痛の発症は約1/3に抑制されたと報告されています。抗がん剤や副腎皮質ステロイド等の免疫抑制剤等の治療により免疫抑制状態となると、水痘ワクチンは生ワクチンですので帯状疱疹の予防接種ができません(逆に水痘を発症してしまう危険があります)が、免疫抑制状態の方にもワクチン接種が可能となるよう、今後帯状疱疹の成分ワクチンがわが国でも認可される予定です。

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