腹痛をきたす婦人科疾患
破裂性子宮外妊娠は3大大量腹腔内出血の原因の1つ(他は肝細胞癌破裂、腹腔動脈瘤破裂)です。腹痛、無月経、不整出血が主な症状です。
骨盤腹膜炎は発熱はあるが下痢や嘔気、嘔吐などの消化器症状を伴わない持続する下腹部痛が主症状です。淋菌とクラミジア・トラコマティスが主な起炎菌ですが、淋菌のほうが重症となります。虫垂炎を鑑別します。虫垂炎と比べると消化器症状が無い、高熱である、圧痛範囲が広い傾向があります。卵管卵巣膿瘍に至れば手術的排膿が必要です。肝周囲炎は主にクラミジア・トラコマティスによる骨盤腹膜炎が肝皮膜に波及したものです。右季肋部痛が主なの初発症状です(肝周囲炎を発症した時点で骨盤腹膜炎は寛解していることが多いです)。右側胸部や右肩から頚部にかけての痛みも伴いますが、稀には右僧帽筋稜の痛みで発症することもあります。痛みは持続的で、深吸気、仰臥位、右側臥位で悪化することが多いです。
卵巣捻転は突発する下腹部痛あるいは背部痛です。悪心、嘔吐を伴うこともあり右側の尿管結石が鑑別疾患です(若い女性の尿管結石は卵巣捻転じゃなかろうか、高齢者のそれは腹部大動脈瘤破裂ではなかろうか、尿管結石の隘路です)。5cm程度の腫瘍や嚢胞が捻転のリスクです。
破裂性卵巣のう胞は夜の物理的刺激にて突発する持続性の下腹部痛です。出血ですので消化器症状は無く腹膜刺激症状があります。
破裂性チョコレートのう胞は自然破裂が多いです。子宮内膜症の病歴として月経困難症があり、発症は生理の時期が多いです。