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胆石

[2018.01.25]

成人の1割程度に胆石が認められます。そのうち年率1から4%に症状を呈します。胆石を持っている人の多くは生涯無症状ですごされますが、一度腹痛等症状を呈するようになると、胆嚢炎や膵炎などの合併症の出現率も有意に多くなります。合併症の確立された予防法もないのが現状です。40歳代の中年女性、肥満、多産がリスクとなりますが、若年男性で、胆石症の家族歴がある場合は遺伝性球状赤血球症の可能性も考えて脾腫の有無も検索します。

 

さて、半年前から、夜睡眠中に時々、発汗が多くなって脈拍も速くなりそして目を覚ますことがあったが、そのような発作は30分ほどで治まっていた、と有名な教科書「急性腹症の早期診断」の著者にして外科医のコープ卿は88歳の時の自身の経験を、その教科書に症例報告風に記述しています。ある朝7時ごろに朝食を摂ったがその後、正午前に激しい心窩部痛に襲われて全く食欲を失いベッドに入った。私は痛みの原因は何だろうと考え、初めは冠動脈疾患かと思ったが脈拍は全く正常でこの診断を支持する徴候はなかった。次に腹部に注意を向けた。左と右の腸骨部を触診したが異常は全くなかった。しかし驚いたことには右季肋部を触診すると胆のうはゴルフボールほどの大きさに丸く緊満して固く触れたが痛みや圧痛はなかった。圧痛がなかったため、急性胆のう炎の診断名は全く頭に浮かばなかった。横になっているうちに心窩部の痛みは和らぎ少しうとうとした。午後の遅くに目を覚ますと大変驚いたことには今度はもはや腹部のどこにも先ほど確認した腫脹や腫瘤は消えていた。しかし、午後の9時ごろ右季肋部に痛みと圧痛が再び始まった、微熱もあり、今度は急性胆のう炎と確信した、手術が行われ結石とともに一部はすでに壊死に陥った胆のうが摘出された。この経験から、私は急性胆のう炎について次のことを学んだ。①初発症状は心窩部痛の場合があること、②最初の徴候は腫脹した胆のうであるが、圧痛はない場合があること、③何らかの理由で胆のうから内容物が排出されて腫脹と疼痛が消失する場合があること、④その後胆のう炎を発症すると痛みは右季肋部に感じるようになること、⑤この二度目の疼痛は明らかに腹膜刺激によるものであり、急性虫垂炎において痛みが内臓痛から体性痛に変わるに従い痛みが心窩部から右下腹部に移るのに似ている。夜間に発汗と脈拍数が増加した発作が胆石に関連していたかどうかは私にはわからないが、手術以来同様の発作は二度と起こらなかったことは意味深い。結局私は「学ぶのに年をとりすぎたということはない」(セネカ)という格言が真実であることを学んだのである、と88歳のコープ卿は結んでいます。

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