ナトリウムとカリウム
低ナトリウム血症の臨床症状は無気力、筋力低下、嘔気嘔吐、食欲低下、興奮、見当識障害などです。転倒リスクが高まります。原因は水分の排泄障害(有効動脈容量の減少、抗利尿ホルモンの不適切分泌、腎不全、その他副腎不全など)と水分の過剰摂取(心因性多飲)があります。
髙ナトリウム血症の臨床症状は口渇、意識障害、せん妄、昏睡等の神経症状です。低ナトリウム血症と比べるとそれほど多い頻度ではありません。原因の多くは水分の不足(大量の発汗、下痢、嘔吐や尿崩症、浸透圧利尿)です。
高カリウム血症の臨床症状は消化器症状として悪心嘔吐、神経筋症状として四肢や骨格筋のこわばり、四肢知覚異常、筋脱力感などです。高カリウム血症では危険な不整脈が出現するので心電図を記録する必要があります。糖尿病では腎機能低下が軽度でも高カリウム血症をきたすことがあります。カリウムは細胞内に最も多い陽イオンで、細胞内外の濃度差は約40倍です。溶血などの細胞融解で髙カリウム血症になりやすいのはこのためです。横紋筋融解や腫瘍崩壊症候群などに伴うものは緊急対応が必要です。薬剤が原因となることも多く減量や中止も検討します。低カリウム食の栄養指導も有効です。
低カリウム血症の臨床症状は筋力低下や筋肉痛、倦怠感、便秘や多尿、麻痺性イレウスなどです。不整脈や横紋筋融解も引き起こすことがあります。原因は下痢疾患による腸管からのカリウム喪失、薬剤や疾患による腎からのカリウム喪失、細胞増殖や甲状腺疾患に伴う細胞内へのカリウムの移動などです。