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消化管アミロイドーシス

[2018.04.01]

繊維構造をもつ不溶性蛋白であるアミロイドが臓器に沈着することによって引き起こされる障害です。消化管、特に小腸は心臓、腎臓とともにアミロイド蛋白の沈着が最も多い臓器です。消化管に沈着するのは①AA、②AL、③Aβ2M、④ATTRの4種類のアミロイド蛋白ですが主に①②の二つです。①AAアミロイドーシスは関節リウマチなどの慢性炎症性疾患に合併します。IL-6受容体抗体製剤等による治療成績の改善により減少傾向が示されています。炎症関連蛋白の代謝産物であるAAアミロイド蛋白は消化管の粘膜固有層と粘膜下層血管周囲に顆粒状に沈着します。慢性下痢、低栄養、粘膜の脆弱化に伴う粘膜出血による貧血等の症状を呈します。十二指腸や小腸の内視鏡所見は微細顆粒状隆起や粗雑な顆粒状粘膜ですが、沈着が高度になると血管狭小化による循環障害を生来して、絨毛の萎縮やびらん、潰瘍や易出血性の脆弱な粘膜像を呈します。大腸病変は顆粒状粘膜が主な所見ですが大腸は小腸に比べるとアミロイド蛋白の沈着が少なく典型的な所見に乏しいです。②ALアミロイドーシスは全身性と局所性の二つの病態があります。全身性は多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症に伴う骨髄腫性ALアミロイドーシスと合併病変のない原発性ALアミロイドーシスに分類されます。他方局所性のアミロイドーシスは消化管のみに沈着し、腫瘤を呈して局在する場合と消化管に比較的広範に沈着する病変を呈するものの2型があります。消化管限局性アミロイドーシスは予後良好な症例が報告されており、治療方針決定のため全身性との鑑別が重要です。免疫グロブリン軽鎖を前駆蛋白とするALアミロイド蛋白は血管壁の親和性が高く、粘膜筋板、粘膜下層及び固有筋層への塊状沈着を来たします。蠕動運動機能が低下し病期の進行に伴いイレウス症状が出現して慢性偽閉塞状態を呈します。十二指腸や小腸の内視鏡所見は多発性の粘膜下腫瘍様隆起とびまん性のkerckring皺壁の肥厚像が特徴的です。粘膜下腫瘍様隆起は黄白色調を呈します。沈着が粘膜固有層にも高度になると微細顆粒状、びらん、易出血性所見を呈してAAアミロイドーシスと同様の所見を認めます。大腸所見は粘膜下腫瘍様隆起と半月ひだの肥厚像です。さらには顆粒状粘膜面、びらん、潰瘍、易出血性、虚血性病変として粘膜下血腫を認めることがあります。

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