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肉芽、肉芽腫、膿瘍

[2018.07.11]

肉芽は毛細血管に富んだ新生結合組織(幼若な結合組織)です。肉眼的には顆粒状の隆起に見えますので肉芽と呼ばれます。肉芽腫は肉芽からなる腫瘤です。肉芽腫には肉芽から形成されるものの他、マクロファージや類上皮細胞(腫大した組織球)の結節性増殖の周囲をリンパ球、形質細胞、繊維組織が取り囲み腫瘤を形成するものとがあります。肉芽腫は本来、異物や微生物などに対して組織球が原因を貪食、隔離して、急性炎症反応の継続を阻止する特殊な炎症性組織反応であると考えられています。炎症反応を惹起する因子を貪食して散って行く好中球に対して、組織球はしばしば類上皮細胞や多核巨細胞の形態をとり、その周囲にリンパ球が取り巻くように浸潤し肉芽腫組織を形成します。結核型肉芽腫は中心に乾酪壊死を、偽結核型(エルシニア腸炎等)は中心に膿瘍化壊死を、リウマトイド肉芽腫は中心に類繊維素壊死を伴います。

組織にびらんや潰瘍が生じると種々の炎症細胞が遊走され、炎症細胞から遊離される蛋白分解酵素による融解と貪食細胞による壊死物質の吸収が起こります。並行して周囲結合組織の幼若化により肉芽が形成され、欠損組織を補填しながら分化した細胞の再生が起こり、肉芽は膠原繊維に置換されて瘢痕化します。消化管疾患では類上皮肉芽腫はサルコイドーシスやエルシニア腸炎などでも認めますが、代表的疾患はクローン病と結核です。結核でも乾酪(凝固)壊死を認めないこともあり、その際には肉芽腫が大型で癒合性があることでクローン病と鑑別できることがあります。消化管結核は乾酪(凝固)壊死を伴う大きくて癒合性のある肉芽腫が特徴で潰瘍底や炎症層の粘膜下層深部から漿膜下層に形成されることが多いです。対してCrohn病では萎縮性の孤立性、非癒合性の乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が診断基準の一項目になっています、また内視鏡的に炎症所見の乏しい部位においても粘膜から漿膜まで消化管壁全層性に検出されることがあります。

膿瘍は臓器組織の限局性の化膿性炎症巣で、炎症局所の組織が炎症細胞から遊離される各種の蛋白分解酵素によって融解壊死を生じて、膿が貯留した病巣です。

 

 

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