血清フェリチン値
[2018.01.27]
フェリチンは鉄を結合して貯蔵するための蛋白で肝、脾臓、骨髄、骨盤などの組織に広く分布しており、その分布量はおおむね血清値と相関します。鉄貯蔵マーカーとして利用されています。鉄貯蔵量の低下に応じて血清フェリチン値も低下します。鉄剤投与は血清フェリチン値の是正を目標にします。肝炎や他の炎症性疾患、悪性腫瘍でもしばしば髙値を示しますが疾患特異的な意義は乏しいです。ですから異常低値は鉄欠乏製貧血や造血が急速に回復、亢進して鉄利用率が上昇した病態です。異常髙値を示すのは①鉄利用が障害される再生不良性貧血や骨髄異型性症候群のような造血障害、②ヘモクロマトーシス、ヘモジデローシス、③肝細胞破壊による肝組織からの逸脱、④スティル病などの自己免疫性疾患やその他慢性炎症、⑤造血器腫瘍その他の悪性腫瘍、⑥血球貪食症候群、等です。
鉄欠乏性貧血に慢性炎症性疾患を合併した場合は血清フェリチン値のカットオフ値は100ng/ml程度まで上昇します。