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5-ASA製剤による潰瘍性大腸炎治療

[2018.03.04]

2週間で症状の改善が全く認められない場合は治療の追加または変更を検討します。5-ASA製剤は症状をしっかり抑えるために最大量を内服します。昼に飲み忘れが多い場合は、朝1回か朝夕2回の内服処方にします。錠剤が大きいために飲みづらいので最近は粒状の製剤もあります。最も注意すべき副作用はアレルギー(不耐)です。内服後一週間以内くらいに起こる副作用で下痢や血便が余計にひどくなります。発熱する場合もあります。内服中止後速やかに症状が改善することでアレルギーの副作用と判断できます。稀に腎障害や間質性肺炎も起こします。尿蛋白や咳に注意します。5-ASA製剤が副作用で内服困難な場合はイムランやロイケリン(免疫調節剤)を選択します。下痢、血便等の症状改善効果はあるが、排便後の残便感や、有形便ではあるが血液が付着するといった症状が残る場合は肛門に近いS状結腸や直腸の炎症残存が想定されますので、5-ASA製剤の坐薬や注腸が適応となります。座薬や注腸は通常は時間がゆっくり取れる就寝前が勧められます。最初はうまくいかなくても、直腸の炎症が治まってくれば薬剤を溜めておけるようになります。また注腸は煩雑ですので継続治療のためには症状が落ち着いてくれば半量注入や週数回といった減量使用も検討します。それでも効果不十分のときはサラゾピリンを試します。副作用は30%以上の高頻度ですが5-ASA製剤よりも明らかに効果は強いです。サラゾピリンはスルファピリジンと5-ASAの化合物ですが、内服後分解されたスルファピリジンが頭痛、吐き気、肝障害など5-ASAにはあまり認めない副作用の主な原因と考えられています。5-ASA効果不十分の場合、急にすべてサラゾピリンに変更すると消化器症状や頭痛の副作用が強く出ることがあるので、サラゾピリンを少量から開始して、5-ASAを減量しながらサラゾピリンを少しずつ増量するとうまく併用して寛解導入されることがあります。また稀には5-ASAでアレルギーが出るのにサラゾピリンでは問題ない場合もあります(5-ASAのコーティーング剤のアレルギーと考えられています)。

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