エルシニア腸炎
[2017.12.22]
豚肉や犬、猫、鼠、鳥類、魚介類などから経口的に感染します。潜伏期間は1から10日です。小腸内で増殖し、組織侵入性でリンパ組織に親和性があり、パイエル板や孤立リンパ小節などのリンパ組織に侵入して増殖します。その後リンパ行性に拡がり腸間膜リンパ節炎を起こします。症状は右下腹部痛が多いです。下痢はあっても軽度であり血便は稀です。内視鏡所見は終末回腸のパイエル板の腫大、びらんと多発アフタ、回盲弁の腫大、アフタ、盲腸から上行結腸のアフタが特徴的です(チフス性疾患ではアフタではなく下掘れ傾向の潰瘍を呈することが鑑別点です)。CT所見も回盲部のリンパ節腫大と終末回腸の壁肥厚所見です。生検組織検査では著明なリンパ球浸潤やリンパ濾胞の増生、過形成がみられ、中心に好中球浸潤と壊死、膿瘍化も伴います、類上皮肉芽腫の形成も特徴的でCrohn病との鑑別を要することもあります(中心に膿瘍化を伴う肉芽腫はネコ引っかき病のリンパ節病変と類似しています)。時にリンパ腫との鑑別が困難な場合があります。診断は便からの菌の検出が重要ですが低温での長時間の培養が必要で、低温増菌法も併用します。生検組織を用いた培養も有用とされています。