カンピロバクター腸炎
[2017.12.02]
細菌性腸炎のなかで最も頻度の高い腸炎です。鶏、豚、牛などの腸管内に常在しており、汚染され加熱不十分な鶏肉などの経口摂取で感染します。潜伏期間は10日に及ぶこともあり他の細菌に比して長いです。発熱、倦怠感が下痢や血便に約一日先行することがしばしばあり特徴的です。発熱や頭痛、倦怠感症状のみで来院された方で問診で鶏等疑わしければ腹部エコーにて結腸壁肥厚所見(炎症による浮腫)の有無を確認します。稀に続発症として反応性関節炎やギランバレ症候群を発症することがあります。ギランバレはカンピロバクタ腸炎の0.1%以下の発症ですがギランバレ全体の30%はカンピロバクタ腸炎に続発します。ガルウイングの形のグラム陰性桿菌で便グラム染色で診断可能です。直腸を含む大腸全域に散在性またはびまん性に発赤、浮腫、出血、びらん、潰瘍などの炎症所見を認めます、回盲弁上の浅い潰瘍はもっとも特徴的な所見で40%に認めます。サルモネラやエルシニア腸炎でも認めることがあり特異的ではありませんが潰瘍治癒が遷延する特徴があります。終末回腸にも炎症所見を認めることがあります(直腸はカンピロバクタ腸炎で、終末回腸はサルモネラで病変を認める頻度が高いです)。重症例に対してマクロライド系抗生剤の内服治療をします。