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リンパ球浸潤癌

[2018.06.30]

リンパ球浸潤癌は「胃癌取り扱い規約第15版」によれば、癌細胞が、著明なリンパ球浸潤を背景にして、充実性あるいは腺腔形成の明らかでない小胞巣状に増殖する低分化癌であり、胚中心を伴ったリンパ濾胞の増生も特徴的である、粘膜内病変は分化型であることが多い、と定義されています。胃癌全体の約10%の頻度と報告されることが多いです。比較的若い男性の、噴門部から胃体上部にかけて好発し、脈管浸潤が少なく予後も比較的良好とされています。カルチノイドや内分泌細胞癌、胃底腺型胃癌、未分化癌等とともに悪性上皮性腫瘍の特殊型に分類されています。リンパ球浸潤癌では約90%以上の高率でEBウイルスの感染が認められます。この組織型を特徴付ける著明なリンパ球浸潤は病変深部の低分化腺癌の分布する範囲に認められ腫瘍と周囲組織との境界は明瞭で、さらに同部には繊維化が乏しいことも特徴とされています。これらの腫瘍増殖形態の反映として粘膜下腫瘍様の所見を呈するが病変は比較的軟らかく周囲粘膜の引きつれを生じることも少ないです。病変露出部の発赤が目立つことも特徴とされています。また同時性及び異時性多発が比較的多いとの報告もなされています。超音波内視鏡検査でも著明なリンパ球浸潤と繊維化の少ない病理組織学的特徴の反映として病変下に低エコー領域を認めることが多いです。

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