ジアルジア症
[2018.03.29]
Giardia lambliaによる人獣共通の腸管感染症でウシ、ヒツジ、イヌなどの哺乳類に寄生し糞口感染により伝播します。診断後直ちに届出が必要な4類感染症です。潜伏期間は1から3週です。発症から2から4週以内は急性ジアルジア症と言い、上部小腸を中心とした粘膜障害を来たすと水様便、腹痛、腹部膨満を認め、無治療では慢性化して過敏性腸症候群様の慢性下痢や吸収不良症候群を呈することがあります。内視鏡所見は十二指腸のリンパ濾胞過形成による黄白色の微小隆起や厚い粘液付着、アフタや周囲隆起を伴う小発赤、粘膜の顆粒状変化などが報告されていますが異常所見を認めないことが多いです。診断は腸液や新鮮便の検鏡による原虫の証明で、激しい下痢の場合は栄養体が観察されますが、有形便や軟便程度では嚢子を探します。生検組織のタッチ細胞診も有用です。組織学的には絨毛間にメガネに類似した左右対称の2個の核と、4対8本の鞭毛、1本の中心性縦走性軸策を有し、西洋梨型の栄養体を認めます。陰窩内には急性局所性の炎症を認め、粘膜固有層にも好中球浸潤を認めます。虫体は粘膜固有層や粘膜下層にも見られます。一週間程度のメトロニダゾール内服が有効です。