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高安動脈炎(大動脈炎症候群)

[2018.01.01]

大動脈とその主要分枝を侵す慢性肉芽腫性血管炎です。若年のアジア人女性に好発しますが稀な病気です。炎症による発熱や倦怠感、痛み、食欲不振、体重減少等の全身的な症状が出現することもありますが、一般的には病初期には特異的な症状に乏しいことが多いです。病状の進行とともに大動脈とその主要分枝の炎症による血管痛や狭窄に伴う雑音や虚血症状も認めるようになります。具体的には鎖骨下動脈の炎症で上肢の疲労感、痺れ、血圧の左右差、鎖骨下動脈盗血症候群によるめまい失神、頚動脈、椎骨動脈ではめまい失神、一過性脳虚血、脳梗塞、頭痛、視力障害、大動脈弓では大動脈弁閉鎖不全や心不全、腎血管性高血圧、腹部動脈では嘔気、嘔吐、腹痛、下肢の間欠性跛行等です。

側頭動脈炎とともに巨細胞性動脈炎に分類されますが、巨細胞を認める頻度は側頭動脈炎に比して少ないです。高安動脈炎は大動脈から第一分枝の動脈を、側頭動脈炎は第二分枝から先の動脈を侵します、罹患分布が異なります。治療経過も明瞭に異なります。側頭動脈炎は初回ステロイド治療で高率に寛解し、また寛解を維持します。比して高安動脈炎はステロイド減量とともに高率に再燃してCRPは再上昇し、くすぶります。

若年女性の原因不明の炎症はクローン病と並んで高安動脈炎を考えます。診断のこつは原因不明のCRP上昇には大血管MRIやPET/CT検査することです。

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