メニュー

薬剤関連性消化管病変

[2017.12.12]

食道病変では急に発症する胸やけや嚥下痛、胸痛症状で、テトラサイクリン等の抗生剤(多彩な形態の潰瘍)、骨粗鬆症治療剤(地図状びらん、潰瘍、粘膜剥離)、抗凝固剤(白色膜様物付着、白色粘膜)が代表的な原因薬剤です。上部消化管ではアスピリンやNSAIDsでは不顕性の出血による貧血に注意します(前庭部に多発傾向の地図状多形性の多彩な形態の潰瘍)。りん吸着剤による胃前庭部や十二指腸の白色顆粒粘膜の病的意義は不明の点が多いです(組織学的には粘膜固有層間質の組織球、類上皮細胞の集簇で、胞体内に顆粒状から針状の種々の形態を呈する赤褐色調の沈着物を認めます、走査電顕で胞体内の物質は炭酸ランタンとりんの存在が確認されています)。NSAIDsによる腸病変は潰瘍型(背景粘膜は正常でdiscrete ulcerを呈します)と腸炎型に大別されます。小腸病変は潰瘍型が主体でびらん、小潰瘍、縦走潰瘍、輪状潰瘍など規則性のない多彩な病変が特徴です。大腸病変は潰瘍型は回盲部付近の深部大腸に多発します。稀に膜様狭窄を伴います。腸炎型は下痢、血便など症状を伴うことが多く、右半結腸に出血性ないしアフタ性大腸炎を呈します。コラーゲン大腸炎は女性に多く大腸上皮直下に沈着した膠原線維帯、リンパ球浸潤が特徴で顆粒状変化、左側結腸のひび割れ所見、慢性下痢を呈します。PPIやNSAIDS、チクロピジンの関与が報告されています。腸間膜静脈硬化症(静脈の石灰化と上皮の変性、粘膜固有層の膠原線維沈着)は長期服用のある種漢方薬成分の右側結腸から吸収時の影響が考えられています。ある種の降圧剤による吸収不良症候群はcollagenous sprueとして2012年に報告された新しい概念です。慢性下痢、体重減少、正球性正色素性貧血、低アルブミン血症、尿AG陰性を呈し、十二指腸や小腸絨毛の萎縮、顆粒状小隆起、上皮直下の肥厚した膠原線維束、粘膜固有層の慢性炎症性細胞浸潤を認めます。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME