ウィップル病
[2018.03.30]
Tropheryma whippei(グラム陽性桿菌)の感染による全身性疾患です。主要な臨牀症状は関節痛、体重減少、下痢、腹痛の4つです。十二指腸から空腸にかけて菌体が吸収上皮細胞内に侵入するので吸収不良症候群を呈します(小腸粘膜固有層へのマクロファージの充満と腸間膜リンパ節の腫脹による脂肪の輸送障害も吸収不良に関与していると考えられています)。脂肪吸収障害は抗菌薬治療後2週間程度で改善します。約半数で神経症状も認めます。血液検査では貧血、低アルブミン血症、低コレステロール血症を認めます。内視鏡検査では十二指腸から空腸にかけてびまん性の粘膜の浮腫やKerckring皺壁の腫大、肥大した白色絨毛が特徴的な所見です。診断は粘膜病変の生検でPAS染色陽性の泡沫細胞を確認してTropheryma whippeiDNAをPCRで同定します(非結核性抗酸菌症では好酸菌染色で好酸性マクロファージの細胞質内に紅染する多数の好酸菌が確認されること、ウィップル病では脂肪滴を認めることが両者の鑑別点です)。電子顕微鏡で粘膜固有層及びマクロファージ内に桿菌様小体を証明します。比較的長期間の抗菌薬治療が推奨されています。