腸管出血性大腸菌腸炎
[2018.04.23]
ベロ毒素産生能をもつ下痢原性大腸菌の代表が血清型O157大腸菌です。少量の菌量で感染が成立し、二次感染の危険も高いです。牛などの反芻動物の腸管に生息しています。感染経路は経口感染で保育所や家庭内での人からヒトヘの二次感染も特徴です。潜伏期間は5日前後です。微熱に続いて一日以内に悪心、嘔吐、下痢、腹痛等の消化器症状が出現します。2日目に血便が出現することが多いです、血液そのもの鮮血便が特徴的です。血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、脳症などの重篤な合併症をひきおこすことがあります。菌体抗原の検出キットやベロ毒素検出酵素免疫測定法もありますが、症状出現早期の内視鏡下吸引腸液の培養も菌の検出率が高いです。血清中O157菌体成分抗体の検出キットも市販されています。内視鏡所見は他の感染性腸炎同様直腸の病変は軽く、また深部の腸管病変も非連続性病変で、健常粘膜が介在します。虚血性腸炎類似の縦走潰瘍を認めることもありますが、病変の主座が右側結腸であることが鑑別点です(虚血性腸炎に比して経過も緩除です)。大腸炎ですので終末回腸には病変は認めないことが多いです。全周性の著明な発赤、びらん、浮腫を認めます、抗生物質起因性出血性大腸炎とは盲腸にも病変を認めることが多いこと、腸管浮腫も強く、進展性も不良でハウストラも消失することで鑑別します。