抗生物質起因性出血性大腸炎
[2018.04.25]
主にペニシリン系抗生剤の服用後、突発的に頻回の血性下痢と腹痛をきたす疾患です。抗生剤の服用中止により速やかに症状は改善し、ほぼ一週間以内に痕跡を残さずに治癒する予後良好な疾患です。病変は区域性で上行結腸から下行結腸に多く、盲腸と直腸には病変は見られないことが多いです(アメーバ性大腸炎では盲腸と直腸に病変が多いです)。粘膜内出血をきたすことが多く、内視鏡ではびまん性の表在性の鮮やかな発赤、浮腫として認められます。浮腫も腸管出血性大腸菌腸炎と比べると軽度のことが多く、またびらんや潰瘍も認めても軽度のことが多いです。腸管の進展性も良好でハウストラの消失もみられません。抗生剤の服用中止により速やかに症状は改善し、ほぼ一週間以内に瘢痕を残さずに治癒します。虚血性腸炎とは浮腫の程度が軽いこと、抗生剤の服用歴の問診で鑑別します。中年女性に多い疾患です。発熱も軽度で全身状態も良好のことが多いです。