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サイトメガロウイルス(CMV)関連胃病変

[2018.08.17]

サイトメガロウイルスはヘルペスウイルス科のDNAウイルスで、多くは幼小児期に感染して、不顕性感染の形で生涯宿主に潜伏感染します。免疫抑制剤などによる易感染宿主における日和見感染症の原因ウイルスのひとつです。全身の臓器に感染症を引き起こしますが消化管においても多彩な病変を呈します。消化管では大腸に次いで胃病変の頻度が高いです。また胃病変は健常成人にも病変を惹起することがあることも知られています。症状は心窩部痛、発熱その他全身倦怠感や食欲不振もみられます。内視鏡検査では前庭部の浅い不整形の潰瘍やびらんの所見の他、発赤や浮腫などの比較的軽い所見も報告されています。鑑別疾患は浅い多発潰瘍、びらんを呈する急性胃粘膜病変、MALTリンパ腫を含む悪性リンパ腫、胃梅毒胃結核などの感染症です。診断は病理組織学的検査で病変部のウイルスの証明が必要です。巨細胞核内封入体はHE染色で判別可能ですが感度が低いので抗CMVモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色も併用して細胞質内封入体も検出します。またin situ hybridization法によるCMV DNAの証明も試みられます。CMVは血管内皮細胞や線維芽細胞内に感染することが多いため(巨大化した内皮細胞により血管内腔が狭窄して、血流障害から内皮細胞機能障害、血管炎が惹起されて粘膜潰瘍に至ると考えられています)、潰瘍底や肉芽組織からの生検が種々の検査感度が上がるとされています。

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