日常的な症状でお悩みの方
高度に専門化された医療機関、大勢のスタッフで難病の治療に当たるのが大病院の役割ならば、私たちは「小さな町医者」として、健康なときからいつも皆様のそばに寄り添い、病気を予防、早期発見するお手伝いをする存在でありたいと願っています。
風邪、腹痛、下痢、下血などの急な病気から、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病、その他にも花粉症、不眠症、便秘、胸やけ、骨粗しょう症に伴う痛みなど、日常的なお悩みをお気軽にお聞かせください。
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むくみ
貧血、心不全、肝不全、腎不全、ネフローゼ、パーキンソン、薬剤性(糖尿病薬や甘草を含む漢方薬)、甲状腺機能異常、片側性なら深部静脈血栓や蜂窩織炎
発熱
Δ心拍数/Δ体温や呼吸数≧22では肺炎、尿路感染、胆道感染等による敗血症(意識障害、変容、収縮期血圧≦100にも注意)を疑います、特に脾摘後は要注意です、細菌性髄膜炎は内科緊急疾患です。心内膜炎、おなかの膿瘍、伝染性単核球症、副腎不全、亜急性甲状腺炎、偽痛風、リウマチ筋痛症やスティル病、側頭動脈炎、高安動脈炎等の膠原病、左房粘液腫やリンパ腫、腎、大腸等の腫瘍性疾患等。薬が原因での発熱は比較的元気です。発疹を伴えば薬以外に麻疹、風疹、りんご病、下痢や咽頭痛等を伴えばTSSも。
失神
①動悸程度であまり前兆がなく臥位での失神は不整脈等要注意です。②労作時なら大動脈弁狭窄,肥大型心筋症、③体変時は左房粘液腫、④胸痛、呼吸困難は虚血性心疾患、肺塞栓症、心臓タンポン症⑤背部痛は大動脈解離、⑥立ちくらみは消化管出血、外妊、卵巣出血等の出血性貧血や、パーキンソンやアミロイドーシス、糖尿病等の自律神経障害による起立性低血圧、⑦胸腹部不快感、発汗、吐き気等の前兆があれば神経調節性失神を疑います。咳、排便、排尿、嚥下、嘔吐等の状況失神、朝礼等5分以上の立位、採血時、過度の腸管伸展等で起こる血管迷走神経反射、頚動脈洞性失神の三つに分類されます。⑧頭痛はくも膜下出血、⑨めまい、複視、構音障害、嚥下障害、片側の顔面神経麻痺やしびれがあれば椎骨脳底動脈不全(狭窄による循環不全、プラークからの血栓、椎骨動脈解離、大動脈解離、鎖骨下動脈盗血症候群)を疑いますが頻度は少ないです。薬が原因のこともあります。
めまい
めまいが起これば誰でもじっとよこになります。余計に動く人はいません。じっとしても治まらなければトイレ等も困難なので家にはおられません、病院受診です。頭痛や脳神経障害(複視、構音障害、嚥下障害、片側の顔面を含む痺れ、麻痺等)も救急受診です、よこになって治まっても寝返りで増悪は良性発作性頭位めまい症、略してBPPV(朝が悪く午後に改善)で特徴的です。寝返りで良くても起き上がると増悪は脳貧血の症状で、貧血や自律神経障害による起立性低血圧に対する迅速な対応が求められます。立てても次足立ち困難なら中枢性、立てても閉眼でふらつくならビタミンB12不足等が疑われます。前失神のめまいの鑑別も必要です。
のど
突然の発症は心筋梗塞や大動脈解離、くも膜下出血(首から上で突然何かが起こったら一度は鑑別にあげる)、縦隔気腫の可能性、開口障害は扁桃周囲膿瘍を、重症感に比して見た目の咽頭所見が軽い場合は急性喉頭蓋炎を、前頚部圧痛は甲状腺炎やスティル病を鑑別にあげます。溶連菌やEB、サイトメガロウイルス、カンジダ等の真菌は日常疾患です。胸焼け等逆流性食道炎も増えています。風邪によるのどは桔梗湯が、原因不明のヒス球には半夏厚朴湯がとっても良く効きます。
呼吸困難
第一に貧血を鑑別します。心筋梗塞や弁膜症、心膜炎、大動脈解離等の心血管系疾患、気胸や肺塞栓、喘息、肺炎等の呼吸器系疾患、ギランバレや筋無力症等の神経筋疾患等も疑います。敗血症やCO中毒も。
胸痛
①急性冠症候群(胸痛、冷や汗、吐き気が三大主候、その他突然ののど、歯、肩の痛み等)、②大動脈解離(大動脈弁逆流による潅水様拡張期心雑音、心臓や脳、腎臓、消化管、脊髄、四肢等の多臓器虚血症状や左胸水に注意)、③肺塞栓(説明困難な心臓、呼吸器系症状がある、頚静脈怒張、頻脈、頻呼吸、片側の下肢腫脹)、④緊張性気胸(胸部外傷、頚静脈怒脹、気管の偏位、片側の呼吸音減弱)、⑤特発性食道破裂(飲酒後の嘔吐で急激に上腹部痛、胸痛、背部痛が出現)が怖い五つの病気です。大動脈弁狭窄症による収縮期雑音、心膜炎や胸膜炎の摩擦音、ヘルペスの発疹、静脈血栓の索状物、皮下気腫も探します。胆石発作や十二指腸潰瘍、膵炎等腹部疾患でも胸痛を呈することがあります。
動悸
高カリウム等の電解質異常、急性冠症候群、肺塞栓、心房細動や発作性頻拍、洞不全、ブロック等による不整脈、貧血、低血糖、甲状腺機能異常、褐色細胞腫、敗血症、ショック、心不全、妊娠等。
吐き気
頭部(脳卒中、脳腫瘍、脳炎、髄膜炎、片頭痛、めまい疾患)、内分泌、代謝疾患(高血糖、低血糖、副腎機能低下、甲状腺機能亢進、褐色細胞腫、腎臓、高Ca、低Na、妊娠等)、薬物や中毒(ジギタリスやCO中毒等)、腹部(腸閉塞、急性肝炎、胆嚢炎、膵炎、虫垂炎、腹膜炎、腸間膜虚血、虚血性腸炎、腎梗塞等の虚血疾患、胆石や尿管結石発作)緑内障発作、急性冠症候群、腎盂炎等による敗血症 等。
腹痛
呼吸回数が多いときには(>30回/分)急性冠症候群、大動脈解離、肺塞栓、緊張性気胸、特発性食道破裂、心膜炎、胸膜炎等胸腔内疾患も鑑別します。有名なコープ急性腹症早期診断の教科書にも記載されています。次に手術の必要な疾患を判断します。虫垂炎(腹部の緊急手術の約半数、医者を謙虚にする病気、①食欲不振、②上腹部痛、③吐き気、④右下腹部に痛みが移動、⑤発熱の順番に症状出現、治療法がなかった時代には汎発性腹膜炎に至れば敗血症で皆亡くなった、近代医療に感謝)、消化管穿孔、急性膵炎、胆石疾患、腸閉塞、急性腸管虚血、虚血性腸炎、大動脈瘤破裂、腎梗塞、結腸憩室炎、外妊、卵巣腫瘍の捻転、卵巣出血、急性副腎不全、糖尿病性ケトアシドーシス等。
腹痛をきたす婦人科疾患
破裂性子宮外妊娠は3大大量腹腔内出血の原因の1つ(他は肝細胞癌破裂、腹腔動脈瘤破裂)です。骨盤腹膜炎は発熱はあるが下痢や嘔気、嘔吐などの消化器症状を伴わない持続する下腹部痛が主症状です。淋菌とクラミジア・トラコマティスが主な起炎菌ですが、淋菌のほうが重症となります。虫垂炎を鑑別します。虫垂炎と比べると消化器症状が無い、高熱である、圧痛範囲が広い傾向があります。卵管卵巣膿瘍に至れば手術的排膿が必要です。肝周囲炎は主にクラミジア・トラコマティスによる骨盤腹膜炎が肝皮膜に波及したものです。右季肋部痛が主な初発症状です(肝周囲炎を発症した時点で骨盤腹膜炎は寛解していることが多いです)。右側胸部や右肩から頚部にかけての痛みも伴いますが、稀には右僧帽筋稜の痛みで発症することもあります。痛みは持続的で、深吸気、仰臥位、右側臥位で悪化することが多いです。卵巣捻転は突発する下腹部痛あるいは背部痛です。悪心、嘔吐を伴うこともあり右側の尿管結石が鑑別疾患です(若い女性の尿管結石は卵巣捻転じゃなかろうか、高齢者のそれは腹部大動脈瘤破裂ではなかろうか、尿管結石の隘路です)。5cm程度の腫瘍や嚢胞が捻転のリスクです。破裂性卵巣のう胞は夜の物理的刺激にて突発する持続性の下腹部痛です。出血ですので消化器症状は無く腹膜刺激症状があります。破裂性チョコレートのう胞は自然破裂が多いです。子宮内膜症の病歴として月経困難症があり、発症は生理の時期が多いです。
体重減少
半年で5%以上の体重減少です。悪性腫瘍、血管炎や結核や炎症性腸疾患などの消耗性疾患、糖尿病や甲状腺や副腎不全や褐色細胞腫などの内分泌疾患などが鑑別に上がります。
下痢
感染性腸炎はカンピロバクタ、サルモネラ、エルシニア、O-157、結核などの細菌、サイトメガロやEBなどのウイルス、アメーバなどの原虫感染等、抗生剤やNSAIDs、PPIなどの薬剤性腸炎、炎症性腸疾患やアミロイドーシス、好酸球性腸炎や膠原病、血管炎などの全身疾患に伴うもの
頭痛
①くも膜下出血、脳出血、脳浮腫、脳腫瘍等頭蓋内圧の上昇のよるもの、②髄膜炎や脳炎、静脈洞炎、血栓等の炎症性、③高血圧、血管炎、CO中毒の血管拡張等の血管由来、④副鼻腔炎、緑内障発作、ヘルペス等頭蓋外由来の四つの病態を鑑別します。見逃せない頭痛はくも膜下出血です。突然バットで、人生最悪、増悪がキーワードです。鑑別疾患は椎骨/内頚動脈解離(突然の経験したことのない片側性の頭痛、顔面痛、前頚部痛、後頚部痛、後頭部痛でめまい、吐き気、複視、歩行障害、顔のしびれ、眼瞼下垂)、下垂体卒中(視野欠損、複視、眼痛)、脳静脈洞血栓症(意識変容、吐き気、けいれん)などです。
腰痛
原因が不明の時には①血管障害(大動脈瘤切迫破裂、感染性大動脈瘤、大動脈解離、心房細動時の腎梗塞=LDH単独上昇、抗血栓薬内服中の副腎出血や急性脊椎硬膜外血腫)、②感染(腎盂腎炎、腎膿瘍、脊椎椎間板炎、硬膜外膿瘍、腸腰筋膿瘍)、③腫瘍(骨髄腫や前立腺、乳房、腎臓、甲状腺、肺からの転移)を除外します。
筋力低下
ギランバレ(キャンピロバクタ等先行感染、上行性麻痺)、筋無力症(複視、眼瞼下垂)、髙マグネシウム血症(高齢腎障害の過量の下剤)、低カリウム血症(甘草を含む過量の漢方薬)、皮膚筋炎、多発筋炎(発熱を伴いがん合併も)
一過性脳虚血発作
内頚動脈系は半身の運動麻痺や感覚障害、構音障害、失語、一過性黒内症など、椎骨脳底動脈系は一側または両側の運動麻痺や感覚障害、同名半盲、平衡障害、めまい、複視、嚥下障害、構音障害など
歩行障害
正常圧水痘症は歩行障害、認知機能低下、尿失禁が三徴です。間欠性跛行は休み休みの歩行です。立位休息は閉塞性動脈硬化症を(冷感あり)、前かがみ休息は脊柱管狭窄を疑います(自転車こぎはいくらでも可)。筋力低下では階段のぼりが、失調性ではくだりが困難(感覚性失調では閉眼で増悪)。
しびれ
①突然の片側性の運動麻痺、②片側の手と口周囲の異常感覚、③両側下肢の運動麻痺+感覚異常、④心房細動+四肢の突然の痛み、腫脹はレッドカードです。血管炎では下肢の痺れが初発症状のことが多いですがたいてい発熱や体重減少を伴います。
関節痛
単関節痛では化膿性関節炎(非淋菌性)が、多関節痛では感染性心内膜炎が見逃せません(原因の多くはりんご病ですが)。化膿性関節炎は淋菌性と非淋菌性に大別。淋菌性は移動性多関節炎、皮膚病変、腱滑膜炎が三徴です。反応性関節炎ではぶどう膜炎、仙腸関節炎を伴います。結晶誘発性関節炎の多くは痛風、偽痛風です。偽痛風は発熱を伴う膝や手関節痛が一般的ですが、こうぶ痛発作のこともあります。
せき
三週間以上続く慢性の咳は念のため肺結核等鑑別のため胸部レントゲンを検討します。咳喘息(喘鳴は伴わないが気管支拡張薬が有効)、アトピー咳嗽(咽喉頭の掻痒感を伴う乾性咳嗽)、副鼻腔気管支症候群(湿性咳嗽の代表選手、マクロライド少量持続内服)、気管支結核(レントゲンで陰影認めないことも)、その他胃食道逆流症や降圧剤による咳等
リンパ節腫脹
後頚部リンパ節は風疹、麻疹、伝染性単核球症、片側性では菊地病など、前頸部リンパ節は溶連菌感染、左鎖骨窩はウイルヒョウリンパ節、腋窩はネコひっかき病、全身性は粟粒結核やリンパ腫、サルコイドーシス、SLEやスティル病等自己免疫疾患、薬剤性も
不明熱
心内膜炎、粟粒結核、薬剤、血管炎、血管内リンパ腫、家族性地中海熱
吃逆
延髄背側の吃逆中枢、横隔膜神経、迷走神経、交感神経、舌咽神経のいすれかへの刺激が誘因となります。48時間以上持続する場合、睡眠障害を伴う場合は基礎疾患を調べます、中枢神経疾患(脳血管障害、脳炎、頭部外傷)、迷走神経や横隔膜神経の刺激(咽頭炎、甲状腺腫、横隔膜下膿瘍)、胸部疾患(肺炎、肺がん、縦隔腫瘍)、心血管疾患(心筋梗塞、心膜炎、大動脈瘤)、消化器系(胃食道逆流症、食道がん、胃拡張、潰瘍、胃癌、肝炎、肝がん、胆のう疾患)。とりわけ胃食道逆流症は持続的吃逆の原因の50%を占めるとする報告もあります。